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知的タイムス 新連載「ザ・対談」
知的財産権とは?
それぞれの権利の特徴、そして、その取得ができたら、次は売り込みだ。企業が求めているアイデアとは?また、売り込みについてはどのようなコツがあるのだろうか?
井上 今回は、それぞれの知的財産権の権利の特徴を考えながら、その活用法を考えてみたいと思います。
宮本 まず、特許ですが、前回も話したとおり、来年度からの出願(審査)料金の値上げや、特許登録される確率が低いことから、一般庶民にはなかなか手が出せないですね。
井上 そうですね。大企業と個人の出願料金がいっしょと言うのが、個人的には気に入りませんね。出願審査請求料合わせて現行約10万円から約18万円になります。
宮本 特許法第2条で言えば、特許になる発明とは技術的思想の創作のうち高度なものをいう、ですよね。そのような高度で狭い発明なんか、一般人にはあまり関係がない。
井上 当会の会員のアイデアの99パーセント以上は、特許にならない、いわゆるソフト発明なのです。
宮本 ダイエットスリッパや地下鉄マップ、ゲームのアイデアもそうですよね。しかし、特許で守れないそのようなアイデアをどう守る(活かす)かが大切ですね。
井上 特許法でいえば、そのようなアイデアは発明ではない。しかし、現実問題、スリッパもマップもゲームも売れて儲かっている。儲かるって事は社会のニーズがあるわけで、それらの模倣を防ぐ必要がある。
宮本 以前、バンダイのたまごっちが模倣されたときに著作権と不正競争防止法で真似を防ぎましたね。
井上 たまごっちは、技術的な進歩性がないから、特許法的には発明ではないわけ。でも、売れた。だからどう守るか?という機転が必要。
宮本 特許法は、我々一般人には冷たいですね(笑)。さて、次は実用新案権ですが
井上 実用新案権は、無審査制度が導入されほとんど独占権の意味を持っていないので権利が取りたいという目的以外はあまり効果がないと思ったほうがいい。
宮本 意匠権は、工業デザインを保護しますね。出願料金も1万6千円で審査請求なんか もいらないですから、結構いいかもしれませんね。
井上 そうですね、意外と知られていないこの意匠権ですが、使い勝手はいいですよね。 もちろんデザインなので、その類似性とか微妙な問題はありますけどね。
宮本 商標権はネーミングやマーク。最近話題になった阪神優勝という登録商標問題がありましたね。
井上 この商標というのもあなどれない。億という金に化けることもあるのです。出願料金も2万1千円ですから。
宮本 しかも出願書類も簡単に作成できますしね。特許管理士レベルの知識があれば、 自分で出願できますね。さて、最後になりましたが、著作権についてです。私は貴協会の登録(立証)システムには、一目置いています。それによる成功者を何人も目の当たりにしています。
井上 とてもいいシステムですよ(笑)。日本は著作権については後進国です。文化とは国民の慣習的、文化的遺産であり、それを保護していくという思想はわかりま すが、実際この世の中を見れば、文化的思想が根付いています。その観点の違い から、著作権の振興・保護についての政策の違いがあるわけです。当会の登録業務は、特許にはならないような程度が低く、今まで捨てられていた、しかし価値のあるアイデアを救うために生まれたのです。
宮本 著作権はもともと、自然発生しますが、その証拠を作るという意味で、登録システムがあるわけですね。
井上 そうです。いつ、誰が、何を創作したか?それを第三者が照明するということが大切なのです。それともう一つ重要なのは、その創作表現です。著作権が認めら れるには「創作(独創)性」が必要です。つまり、真似でなく、独自の表現をするということです。
宮本 なるほど、ネーミングなら、その理由とサービスの内容、さらには、そのネーミング自体のデザインまで登録をしています。そしてしっかりと(C)表記ですね。
井上 いいですね。今からは著作権という権利をどんどん主張する時代だと思います。
宮本 そのまえの登録制度ですね。その重要性はわかりましたが、具体的に著作権で守 れるアイデアとは何でしょう?
井上 ゲームのソフトプログラムから、キャラクターや、ゲーム、最近手作りの小物ショップや、アクセサリーショップがはやっていますが、それら作品もすべて著作 権で守れます。そう言えば、当会登録者の著作権もコンサルしていただきましたね。
宮本 はい。ゲームの著作権が素晴らしかったので、商品化させていただきました。また、特許で守れる発明があったとしてもそれら商品を作るために必要な、その商 品図面や金型、そして、作ったあとの取扱説明書やイラスト図面なども著作権で守れますよね。
井上 そうですね。つまり、全ての発明アイデアのどこかしらは著作権で守れるところがあるから、そこを大切にするという発想が重要です。それが結局商品を守る事 になります。
宮本幹夫 略歴 井上睦己氏 略歴
1961年 神奈川県生まれ 1965年 長崎県生まれ
明治大学政経学部卒業後、静岡に会社を設立


1985年 立教大学卒後、上場企業の営業企画を担当 1992年 特許管理士会入社後、ネーミング創作の第一人者として活躍


1987年 ベンチャー企業を開始 1997年 知的所有権協会代表取締役、就任 現在に至る


1988年 大手コンサル/教育/人材バンク会社の横浜支社設立に参画


現在、経営・事業・知的財産コンサルタントとして活躍中である。
著書に「誰でもわかるネーミング入門」等がある