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知的タイムス 新連載「ザ・対談」
知的財産権とは?
知的財産権とは産業所有権(旧工業所有権)と著作権に分かれる。私たちが創作した発明やアイデアがどのような権利で守られるのか?また、どのように活用すればいいのだろうか?
井上 「さて、今回は売り込みについてですが、発明家が企業に自分のアイデアを売り込む時のコツはなんでしょう?企業からの立場でご意見ください」
宮本 「そうですね。はっきり言って、一個人の売り込みというのは、あまり信用できないというか、微妙ですよ。もちろん、企業は社外の提案というのはノドから手が出るほど欲しいものですが」
井上 「発明家が売り込んでも無理ですか?」
宮本 「無理ではなく、その売り込み手段・方法に問題があると思います。企業がアイデアを採用する場合、基本的には相手は法人となります。信用性の問題もありますし、社会的立場もありますから」
井上 「個人より法人がよい?ということになりますね。現在、中小企業支援法により、資本金がなくても有限会社、株式会社が設立できるようになりましたね。今から自分の会社を作るというのもいいかもしれませんが、そうできない人はどうすればいいでしょうか」
宮本 「ある発明家が、自分の売り込み経歴ということで、十数年間に渡る発明経歴と売り込み経歴を一覧表にして送ってきたのです。採用はまったくなかったのですが、そのような人はそれだけで信頼が置ける人という目で見られます。もちろん採用率もグーンとアップしますよね。自分の歩んできた道のりを無駄とは思わず、履歴書にしてしまうという一つの方法は、信頼を得る意味では大切なことだと思います。それと、知的所有権管理士や協会会員という肩書きも実は信用を得るために有効手段です」
井上 「なるほど。売り込みは、信用が一番ということですね。アイデアがよければそれでいいというものではない」
宮本 「もちろん、いいアイデアに越したことはありませんが」
井上 「さて、売り込み手段ですが、通常、企画書を作り、郵送することが一般的です。最近ではメールを使った売り込みで成功している人もいますね」
宮本 「いつ、どこに(誰に)、どんなアイデアを売り込んだ。という証拠を残しておくことも大切ですよ。すべての企業が善意的というわけではありませんから」
井上 「そうですね、それと、相手企業の担当者と直接やりあうことが重要です。宛名も開発部長御中ではなく、○○部長と個人名を書きます。わからない場合は、電話して尋ねるのもいいでしょう」
宮本 「それと、大切なことは、企業それぞれの社外提案規定がありますから、それに従うことです。よく著作権だけで大手企業に売り込む人がいますが、大企業の多くは社外提案において特許出願中、もしくは取得済みのものに限る。とあります」
井上 「そうですね、そのような相談は多いです。企業の社外提案規定に問題があるのではないかと思います。いいアイデアがあれば特許にこだわらず、著作権でも採用するべきですね。あくまでも売り込みについても機械的に処理する大手の姿勢は、衰退する企業の前兆ではないかと思います」
宮本 「そういう意味では、売り込み相手によって、自分の武器(権利)を見直す必要があると思います」
井上 「しかし、発明家に対してあまりお金を使っていただきたくないというのが当会の理念ですから、著作権でも十分通用する中小企業への売り込みを推奨しています。自分のアイデアが大企業に育っていく様を見るのは、気持ちがいいと思いますよ」
宮本 「いいですね。夢があって。中小企業というのは、金型を作って云々という、コストがかかる商品よりも、ゲームのようなコスト安のソフト的アイデアを好む傾向があります。そういう意味では著作権が大切と言えます」
井上 「アイデアの着眼点について、何かコツはありますか?」
宮本 「そうですね、企業の商品の研究も大切です。企業は、まったく関係のない商品を売り込まれるより、この商品ここをこう改良するといいですよ。という提案に弱いのです」
井上 「なるほど、とても参考になりました。当会では、その他、売り込み方法として、次のようなサービスを行っていますのでぜひご参加ください」
宮本幹夫 略歴 井上睦己氏 略歴
1961年 神奈川県生まれ 1965年 長崎県生まれ
明治大学政経学部卒業後、静岡に会社を設立


1985年 立教大学卒後、上場企業の営業企画を担当 1992年 特許管理士会入社後、ネーミング創作の第一人者として活躍


1987年 ベンチャー企業を開始 1997年 知的所有権協会代表取締役、就任 現在に至る


1988年 大手コンサル/教育/人材バンク会社の横浜支社設立に参画


現在、経営・事業・知的財産コンサルタントとして活躍中である。
著書に「誰でもわかるネーミング入門」等がある